アスペルガー症候群の人の仕事観~障害特性を生かした就労支援~の本の書評
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アスペルガー症候群の人の仕事観~障害特性を生かした就労支援~
著:サラ・ヘンドリックス 梅永雄二
社会的地位や成長、経済的利益はさほど重要ではなく、むしろ個人的な興味や楽しみ、ストレスを抑えるための手段の方が大きな意味を持つのではないだろうか。と考察した。
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ASの人はASでない大半の人とは違う理由で働くのではないか。
※単に頭がいい(学校の勉強をこなせる)からという理由で
社交や家事などすべてが万能とは限らない。
推薦本→「書き込み式AS症候群の人の就労ハンドブック」
【第一章 AS症候群は就労や日常生活にどう影響するか】
トニーアトウッドの本が診断基準について詳しく書かれている。
・3つの大多数者との違い
1、社会的相互作用…融通が効かない、モノゴトを自分の観点からしか見れない、社会的ルールを守れない。世間話が苦手、社交の場で馴染めない。(純粋な感じ)
2、コミュニケーションの言語…冗談(皮肉)が通じない→ずっと悩んでしまう、厳密な指示が必要。
3、思考と行動における柔軟性の欠如→良くあてはまる
・自分の日課、モノゴトに対する好ましいやりかた(手順)を必要とする→他人に左右されない自由業
・興味や話題が限られる→何か?
・劣化、多様性、予期せぬこと、自発性を嫌う
・頑固な思考パターンであり、新しい考え、計画、結果、抽象的パターンが苦手
・柔軟性に耐えられずストレスが高まり、不安が誘発される
・白か黒かの思考。どんな場面でも1、2個の選択肢しか目に入らない。人生に対し、オールorナッシングであり、他に選択肢があることや程度を調整できることに気づくのが困難である。
・短期記憶、モノゴトの整理、計画の立案に困難がある。
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・本の並び…いつも同じでないと、いらいらが募る。
・毎日の行動の多くを予定していくことが必要→突然の対応はNG
・私の人生は日課と秩序に縛られている。日課が台無しになると、ふさぎこむ。
・何日も、1年以上同じ食べ物に凝ることも。→私はそれでも大丈夫。
・気になることは徹底的に調べる。
・小さな目標「食器を片付ける」といった具体的な仕事の計画が必要。
・「キッチンを掃除して」はおおざっぱな指示である。
・物事を整理するのに自分なりの方法が必要→メモ
短期記憶のせいで落ち込む人がいる。
・日常品は忘れない場所に置くこと
・一度にいろんなことをこなすのが苦手。モノゴトを終わらせるのが遅い。
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×マルチタスク→〇シングルタスク+何で差別化するか
・量より質が大事
・まわりから極端にせかされない仕事
・早くやれ、は得意じゃない
4、環境への敏感性
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ある種の音、匂い、身体接触、触覚などへの耐性が限られる。もしくは強い好みがある。
・ある種の刺激に耐えられないor必要とする結果、環境ストレスにより引きこもる。
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・だからこそ、ひとりになりたい欲求が強い。
・音楽を携帯しないと外出できない。→押し寄せる感覚入力を処理できない。
・蛍光灯の光・服のタグが苦手
・人と目を合わすことが苦痛な人もいる
5、不安感→ASは日常的に不安感を感じる
・感覚過敏性に寄るもの→騒がしくない環境。(耳栓を使える)
【 第二章 仕事がうまくいかないとき 】
“ひとりになって充電したくて、職場のトイレによく隠れます”
※失敗するリスクが高いもの
航空管制官、救急車の運転手、中高教師、消防士、販売員、また、スーパーのレジ、接客、事務職も人とのかかわりを柔軟性を求められ、感覚刺激も多いからである。
“ASは権威を嫌う。だれでも平等に、自分が当然と感じたら経緯を払う”
・中学教師になるために教育実習を受けた際、教室が向いていないと知った。
➡私もそんな感じですね。介護職を経験しましたが、老人であっても対人業務は苦手ですね。
・運動はエンドルフィンの分泌を刺激し、うつを緩和する。
【 第三章 就労がうまくいく場合とその理由 】
・単独作業
・自主性…自分で判断を下す。
・役割や責任が正確に定義されている
・知的挑戦ができる
・技能に対して経緯が払われる
・仕事の内容に個人的に興味がある。
“私は研究に何時間も費やすことができる”
◎まずは、自分を知ることが良い就労へのスタートとなる。
“ASにとって、お金は地位やステータスのためではない”
- 働く動機における主な要因
お金(生活の糧)、仕事の喜び、知的挑戦、退屈回避、役に立つ、達成感を得る
「自分はこの仕事をただでやるだろうか」と自問すれば、
自分の動機がはっきりと分かる。
→自分が楽しむことが大事。+自分は何をしたいかを自分で理解することが大事。
・既存の秩序を覆し、有償の労働時間に無償の労働をすること。
・博士号を取得して、ASDやADHDについて執筆できればと思う。
- 完璧な仕事
適職とは、その人の特定の技能を最大限に活用でき、なおかつ弱い分野を最小限にとどめる仕事。
ASの強み…単独、事実に関する優れた記憶、論理的分析、問題解決力
・プレッシャーがない
・単独作業
・創造性
・分析的、集中力、詳しく見る力
・繰り返した作業、変化が少ない作業(ルーチンワーク)
・肉体労働(緊張がほぐれる)
・精密さ
・技術的スキル
・数に対する正確さ
・専門的興味
“自分に適している”×手に届く仕事を探す。
“仕事の必須条件+望ましい条件”を知る。
- 自問自答すべきこと
・あなたがしていて一番楽しいことは何ですか。
・あなたは続けて何時間働けますか。
・自宅からどのくらい離れた場所まで通勤できますか。
・屋外or室内、オフィスor工場など好みの環境はあるか
・身体、環境的に必要な配慮は
・いくら稼ぐ必要があるか。(生活費はいくらか)
・単独orチームのどちらがいいか。
◎多くのASが“自己コントロール感”と“人との関わりの少なさ”を仕事に求めている。
例…郵便配達、庭師、IT技術者、エンジニア、写真家、研究者、司書、会計士、ピアノ調律師、本屋など
- 完璧な仕事の定義における主な要因
・柔軟性のある労働条件…時間と収入、場所などの融通がある。
・主体性(自主性)
・お金の心配をしなくても良いほどの収入
・スケジュールの管理
・他者との接触が少ない
デンマークの企業・スぺシャリスターネ→ASDを強みとみた雇用
ASDは正確さが普通の人の10倍。視覚優位、精度、完璧を求める。
システム化、細部への注意、反復・計算に優れる。
テンプルによると、ITで有名なシリコンバレーの1/4はアスペ当事者。
NASAは半数と述べている。
生きやすくなるには… 見える化+詳細に残すこと。
【第四章 子供時代の経験とプライベートの生活環境】
ASには自分で選ぶことが極めて苦手な人がいる。(抽象的・空間・空想的な思考も)
・実際にその仕事をしてみることが、適職を知る唯一の方法である。
・周囲に人がいないことも大事。
- 仕事を選ぶときのポイント
・興味を持った会社・仕事で職場体験が可能か尋ねる。
・他人の仕事を見て、自分にその仕事ができるか考える。
・周囲の人に聞く
・自分の技能と興味をすべて書き出す→誰かに手伝ってもらうのもあり。
→ボランティア活動などで試すことも大事である。→まずは行動!!
イギリス・アスパイア→ASのメンタリング支援 プロスぺクツも
仕事をうまくこなす方法
・紙に書いて教える。明確な指示、計画表や段取りを予測できる量
- おわりに
ASが働きやすくなるには、職場や雇用側が変わらなければならない。
ASは、自分の状態・長所、限界について知ること。
ASの悩みは就労
通勤、照明、ブーンという音、室音、雑音などの敏感性
・自分が大阪で電車通勤より自転車通勤を選んだこともひとつの理由だと思っています。